東日本大震災、福島第一原発事故から丸2年。安倍内閣はまるで原発事故などなかったかのように、原発再稼働へ前のめりの姿勢を見せている。こうしたなか、原発再稼働を許さず、脱原発運動を再強化していこうと、3・11を前後して各地で脱原発を訴える集会や行動が取り組まれた。兵庫では3月11日、「さようなら原発・兵庫」が呼びかけた後藤政志さん(元原子力プラント設計者)の講演会が神戸市中央区の私学会館で開かれた。
さようなら原発・兵庫(さようなら原発1000万人アクション兵庫県実行委員会)が呼びかけた「3・11公開学習会」にはさまざまな運動団体から250人を超す人たちが参加。「原発再稼働は安全か―原子力技術者からの指摘―」と題する後藤政志さんの講演に聞き入った。
学習会の冒頭、主催者を代表して酒井浩二・ひょうご地域労働運動連絡会議長があいさつ。「福島の現状を知り、可視化させることが、核のない社会をつくるために最も必要なことだ。あらためて『核と人類は共存できない』という言葉の意味をかみしめ直そう。3・11は終わっていないし、終わりなどない、と自覚しよう」と訴えた。
後藤さんは、「原発関連死789人(東京新聞・3月11日)。果てしなく続く汚染水処理―汚染水タンクがすでに26万トン分。あと2年で確保場所がなくなる」と、福島の現状から話を切り出し、福島第一原発事故の原因、構造上の問題、事故対応の問題など、元原子力プラント設計技術者という視点から多面的にその安全性について問題点を指摘した。
そのなかで、原発の安全目標は、事故の発生確率でなく事故の被害の規模で判断すべきこと、さらに「安全は哲学を必要とする」として、「論理的に起こりうることはいつか確実に起きる。安全の考え方はグレーゾーン問題への対応の問題だ」と述べ、「一度、環境に放出された放射性物質はなくならないし、放射性廃棄物の処理はまったく見通しが立たない。核燃料サイクルはより危険で技術的に無理だ」と提起した。
最後に、「未来に向けて」として、脱原発・再生可能エネルギーの時代に向け、生活スタイルの転換と環境のシフトなどを提起。再生可能エネルギーの可能性として「洋上風力発電」に注目していると述べた。
学習会では最後に、「私たちは未来への責任を果たさねばなりません。全原発の廃炉にむけ全力をあげよう」と結ぶアピールを採択して閉会した。
写真上:参加した250人は元原子力プラント設計技術者の視点からの原発再稼働の危険性の指摘を熱心に聞いた=3月11日、神戸市
写真下:講演する後藤政志さん=3月11日