改憲の動きをウオッチング

(2024年4月24日号)

2024/04/24
■軍事力強化へまっしぐら 空母保有や日本版海兵隊の配備など
 岸田首相は防衛大学校の卒業式の訓示で「日本周辺では、軍備増強が急速に進み、力による一方的な現状変更の圧力が高まっている」(NHK)と指摘し、軍事力の抜本的強化を強調した。   
 いま、岸田政権は軍事力強化に向かって突進している。
 ◆歴代政権が憲法上、保有が許されないとしてきた「攻撃型空母」に向けて、海自の大型護衛艦「いずも」と「かが」の改修を急いでいる。甲板などの大規模な改修によって、航空自衛隊のステルス戦闘機F35Bの発着が可能となる。
 ◆日本版海兵隊と言われる「水陸機動団」は離島が侵攻された場合の奪還作戦などを主な任務としている。2018年に創設されて以降、段階的に部隊の配備が進められていたが、部隊の中核を担う3つ目の連隊が長崎県の竹松駐屯地に配備された。およそ3300人の体制となる。計画されている配備がすべて終わり、木原防衛相は、中国を念頭に「抑止力・対処力がいっそう強化され、南西諸島周辺の洋上などに展開できる」と強調した。
 ◆中国をけん制するため、南シナ海で日本、フィリピン、アメリカ、オーストラリアの4カ国による共同訓練が行われた。4カ国による初めての訓練。艦船どうしの通信訓練や隊列を組んで航行し連携を確認したという。
 ◆岸田政権が2022年末に決定した安保関連3文書は、自衛隊などのニーズに基づき、部隊の訓練や有事(戦時)の際の展開などのため、空港・港湾などを整備し、機能を強化する仕組みを設けるとしている。
 政府はこのほど、自衛隊や海上保安庁が有事(戦時)の際に使うことになる「特定利用空港・港湾」に7道県16カ所を指定した。滑走路の延長や岸壁の増築などで、戦闘機や艦船が利用しやすいように整備・改修する。当初38カ所を候補地としたが、ミサイル攻撃の標的になる不安などから22カ所の自治体で継続協議となっている。沖縄県も国と石垣市が管理する2カ所が指定されたが、県管理のものは同意していない。
 「特定利用空港・港湾」は、「戦争する国づくり」の一環である。
 ◆「経済安全保障上の機密情報を扱う事業者らを身辺調査する『重要経済安保情報保護法案』が9日、衆院で可決された」(東京)。反対は共産党とれいわだけだった。
 政府がどんな情報を機密として扱うのか、また具体的な制度設計が政令や運用基準に委ねられるなど、多くの不明点や疑問は解消されないまま、審議は参院に移る。詳細は、法成立後に閣議決定する運用基準で定める。重要情報を扱う会社員らは犯罪歴など7項目の身辺調査を受ける。情報漏えいには5年以下の拘禁刑など。
 反対討論に立った塩川議員は「法案は米国などの同盟国・同志国と兵器の共同開発を推進するものだ。憲法の平和主義を投げ捨てる暴挙だ」と厳しく批判した。
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