新社会兵庫ナウ

私の主張
2020年・年頭に思う(2020年1月21日号)

2020/01/21
問われる市民運動の存在価値
こわすな憲法!いのちとくらし!市民デモHYOGO 世話人 西 信夫

 戦前回帰と政治の私物化を進める安倍政権は、昨年8月23日に戦後最長に、11月20日には憲政史上最長政権になった。安保関連法強行採決、モリカケ疑惑、公文書改ざん、「桜を見る会」疑惑と次々に安倍政権による憲法無視・国政の私物化が明らかになり、その都度、国民の批判を浴びて政権支持率を不支持率が上回る世論調査結果を招いたが、短期間に息を吹き返し、支持率を回復するパターンを繰り返している。今回の「桜を見る会」疑惑も恐らく同じことになるだろう。
 12月21日〜23日に実施された朝日新聞の世論調査では、内閣支持率38%、不支持率42%と1年ぶりの支持・不支持率逆転であった。「桜を見る会」についての政府説明に「納得できない」が76%、「納得できる」が13%なのに、「国会で引き続き解明を求めますか」の問いには、「求める」が40%、「求めない」が50%であった。安倍政権のでたらめさを多くの国民は分かっているが、これ以上追及しても仕方ないという考えだろう。
 私たちは、毎週木曜日15時〜16時半に三宮のマルイ前でアピール活動に取り組み、その時々のホットな話題を取り上げ、道行く人にシール投票を呼びかけ、その結果を首相官邸に送っている。昨年12月12日には、「桜を見る会疑惑をウヤムヤにしていいですか?」を問い、「いいです」が2票、「よくないです」が125票、「わかりません」が7票の計134票と過去最多投票数だった。「よくないです」にシールを貼りながら、「安倍首相がよくないのは分かっているけど、他に代わりがないからねぇ」と話される方が少なからずあった。過去の民主党政権への失望が現在も尾を引いている。民主党政権には同情できる点もあるが、公約になかった消費税増税や、辺野古新基地をめぐる右往左往や、原発事故へのあいまいな対応や、内紛の連続に、私たちもガッカリさせられた。
 安倍政権に代わる新政権は、私たち市民が前面に出て、望ましい政治が行われるよう監視することが必要だ。それを担える人材は市民運動の中に大勢いる。政治を政党任せにするのでなく、市民もその一翼を担うことで、人々の不安感を取り除くことができる。安倍政権をここまで存続させた責任は野党だけではなく、私たち市民運動の側にもある。益川敏英さん(2008年ノーベル物理学賞受賞)は「安倍首相は今までで最悪の総理です」と断言する。過去に類を見ないひどい政治を進める安倍政権をこれ以上続けさせては、市民運動の存在価値が問われる。これ以上悪い社会にさせないために、今年は本当に正念場である。
(安保関連法廃止!市民の集い)

 


怒りと夢を回復させる
芦屋市議会議員 山口みさえ

  昨年4月の統一自治体選挙で、多くのみなさんの暖かいご支援で議員に復帰することができました。
 復帰して6か月が経過しましたが、一番感じることは、1999年に36歳で初当選してから4期16年間、議員として活動してきましたが、その間に怒りと夢が大きく後退していた自分に気づいたということです。前回の選挙で落選し、4年間の活動のなかで、あらためて留守家庭児童会指導員労組や部落解放同盟、自治労の仲間に支えられ、格差や差別をなくし、働くものが大切にされ、子どもや高齢者の生きる権利、学ぶ権利を公的に保障させるという新社会党の主張と、平和を守る闘いを広げることの大切さを再確認し、その先頭に立って運動ができる位置(議員)に復帰できたことに日々感謝しています。
 復帰してからは、指導員労組の民間委託反対の闘い、会計年度任用職員制度の確立、水道労への協約・協定破棄攻撃への抵抗、解放同盟の部落差別解消に向けた条例化づくり、障がい者団体の仲間への攻撃への抵抗(ヘルパー補助の削除)などを一緒に取り組んでいますが、どの攻撃も、行政が議会と結託して、これまでの経緯・経過を無視して一方的につぶしにかかってきているというものです。
 でも、抵抗の力は職場や地域に根づいています。ここをどうつなげ、拡げ、反撃するか、議員としての役割も大きいと感じています。私たちがめざす職場や社会をもっと仲間や大衆にわかりやすい言葉で声を上げ、今の扱われざまへの怒りを押し出したいと思います。 具体的には、今の政治のひどさを『みさえ通信』に載せ、市内に訴えまくりたいと思います。その『通信』も仲間に意見をもらいながら改良を加えています。SNSも娘の協力をもらいながら、インスタは毎日更新しつづけています。
 また、形にとらわれず、仲間と学習・交流をいっぱいやりたいと思っています。それを党に持ち込まないかぎり、新社会党の未来は開けないと思っています。まだ具体的にはスタートできていませんが、周りにいる仲間と始めたいと思っています。
世話役活動、市民相談と、超多忙で体力がなかなかついていきませんが、今年は体力をつけながら全力でがんばる決意です。

 


労働運動・国民春闘の再生を
国労近畿地方本部 執行副委員長  有田 修

 昨年11月29日、中曽根康弘元首相が死去した。氏は首相就任以来、国有企業民営化、規制緩和などの新自由主義政策を本格導入し、1985年に電電公社(現NTT)、専売公社(現日本たばこ産業)を民営化、重要な産業を自由化して大企業に売り渡してきた。総評と左派つぶし・国労解体を目的とした国鉄分割・民営化も1987年に強行された。労働戦線を切り裂き、現在の格差社会と貧困を作った生みの親だと言わざるをえない中曽根元首相を安らかになど眠らせるわけにいかないと思うのは私だけではないと思う。
 その国鉄の分割・民営化から33年目を迎えようとしている現在、全国各地でローカル線の切り捨てが始められ、災害で不通になっている線路の復旧が遅れ、JR7社の格差はますます拡大している。JR北海道は2016年11月、自社単独では維持困難な路線として10路線13線区を公表した。分割・民営化の矛盾は深まり、隠し切れないような状況になっている。
 私たち国労は、国と政府の責任で公共交通としての鉄道を再生する責任があることを強く訴えている。
 JR西日本では、少子化・労働力不足を理由に駅を中心とした「システム・機械化=要員削減・委託化の拡大」の施策が矢継ぎ早に実施されている。同時に2022年までに契約社員(1年契約、最長5年)を廃止する施策も強行し、「希望する契約社員の社員化」を訴えてきた国労要求とかけ離れた結果となっている。儲け優先の施策と言わざるを得ない。安全輸送と利用者への「安全とサービス」、安心して働ける労働条件を手に入れるためにも訴え続け、闘い続けることが重要だと思う。
 昨年10月に消費税が増税され、景気は依然として低迷している一方で、大企業では内部留保が上積みされ、労働者には還元されていない。2020春闘は、大幅賃上げと年金・医療・社会保障制度の向上と憲法改悪反対・平和を守る闘いを掲げ、それぞれの労組を超えて地域から闘うことが求められている。
 国労近畿地方本部では、職場を基礎にストライキで闘う準備を進めている。それぞれの職場や分会で「今の職場のままでいいのか。この社会で許されるのか」と討論し、ストライキ体制を固めている。この春闘時期に国労の姿勢を鮮明にして、国労組織を拡大することが重要だ。国労は、現役世代とシニア世代(退職・再雇用世代)がこれから逆転し、組織が激減する事態に直面している。若い世代からは「国労攻撃に命を懸けて闘って残した国労をこのままなくしていいのか」の声も出る。国労近畿の若い世代の学習会も始まり、次世代国労の成長も始まっている。今年も一人でも多くの「組合加入」を訴え続ける。
 日本の労働組合運動は、バブル崩壊以降、組合員の雇用と賃金を守ることに懸命で、非正規労働者の増大、福祉・社会保障の切り捨てを容認してきた。気がつけば、老後の生活もままならず、子どもたちは正規労働者の道を閉ざされ、貧困と格差に覆われ、ハラスメントが横行する社会になってしまった。
 切り裂かれた労働戦線と労働運動、国民春闘を再生(創造)することは、決して容易ではないにしても、労働運動に携わった人間としては考えざるをえない。

 


格差・貧困と向き合う「地域に根を張る党」を
新社会党中央執行委員長 岡粼宏美

 年末年始、マスメディアを通した評論の中でも新自由主義が社会にもたらしたものを問う内容が散見されました。世界中で、そして日本でも格差と貧困の増大が否応なく明らかとなり、今日、明日を生きることへの不安の増大がその「原因」に目を向けさせたのです。ニューヨークで革命歌「インターナショナル」が若者たちによって歌われているとの記事もありました。
 格差と貧困と向き合う世界の人々は、時に移民排斥運動など排外的な動きを作り出す流れもあるものの、資本主義に疑問を持ち、新たな流れを模索する声をあげ始めています。世界の富は上位資産家26人で150兆円を占め、それは資産下位38億人分と同じである(2019年オックスファム)現状に対し、「政治は、富む者から税を取り、社会に正義や公正さを取り戻す役割がある」ことを明確にしようとする声です。

 1980年代から自民党の徹底した「日本型福祉社会・家庭基盤の充実」策が40年の経過で様々な制度改悪を繰り返しました。それによって公的機関の民営化など小さな政府、民間活力・市場システム重視のための労働者雇用制度も含む規制緩和、家庭による福祉の充実、自助努力等が根深く浸透させられ、そこに小選挙区制の弊害が重なった諦めと無気力の蔓延を背景として安倍政権の長期化もあるのです。
 そして今、連鎖する貧困。中年シングルの息子や娘が老親を介護し、仕事との両立が困難になり離職すれば生活困窮者、老老介護、ヤングケアラ―、老いた親が中年期を迎えたひきこもりの子の生活を見る「8050問題」等々、家族に押し付けてきた福祉の限界が露わです。年末、あるシングルマザーが出産直後の乳児を家において2日間長時間のアルバイトに出勤し、死なせてしまったという事件が報道されました。「お金がなく、病院にも行けず、誰にも相談できなかった」―女性が生きている社会は今、私たちが生きている社会です。
 「政治は、富む者から応分の税を取り、社会に正義や公正さを取り戻す役割がある」と声をあげ、大きな潮流にしていきましょう。次代の人のためにも制度・政策が作り出した社会の閉塞は、人の手によって変える以外にありません。

 スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんから始まった「気候変動に対し何もしない大人たちへのメッセージ」は国境を越えて連帯する運動となり、世界各地で若者たちが「1日も早く温暖化対策の行動を!気候変動は今起きている」と立ち上がっています。若者は金儲けを優先する資本主義社会が作りだした先進国の犠牲にされる途上国の課題も明らかにしています。
 閉塞感の先にあるヘイト。その空気を最大限利用し軍事力拡大を図る政治があります。平和な社会は、市民の暮らしに希望があることと、戦争につながる「力」を持たないことの両方が基本だということを確認し、地に着いた平和を求める運動を強めることは一層大切な時代です。
 新年を迎え、変化を求める声や若い人たちの曇りない視点と運動に応えていく新社会党の活動を強める決意を新たにしています。
 昨年夏の参議院選挙ではロスト・ジェネレーション(就職氷河期)世代を中心に、自己責任論に社会が覆われ、安定した就職ができないのも、人間関係がうまく作れないのも、自分のせいだと思わされてきた「呪縛」を解く声があがりました。これまで政党・政治家がきちんと向き合いきれなかった声に、私たち新社会党は真摯に向き合っていかなければなりません。これまで先輩党員の後ろで活動してきた若い人たちが率直に意見を出してくれていることに勇気づけられます。
 「地域に根を張る党」として、一緒に考え、行動し、問題の解決への努力とともに未来を展望する活動です。党は地域に医療、介護をはじめとする「生きる」ことに関わる仕事や支援に携わる仲間たちを多く有しています。その活動を通して人々と共に社会を変える運動につなげていきます。人らしく幸せに生きる社会を共に描き求めましょう。