新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ448
派遣労働者の置かれている現実

2025/03/12
 H派遣会社と「雇用契約」を交わしているОさんから相談を受けた。聞いた内容は以下のようなものだった。
 契約内容が守られていない。派遣先でケガをして労災の申請手続きをしたが、数か月経っても説明がない。労働基準監督署に問い合わせると、間違いがあるので是正を求めているとのこと。健康診断も2年受診していないので、そのことを尋ねても何の返答もない。給与も年1回10月に昇給実施と雇用契約書には明記されているのに全くされていない。
 契約書無視に腹が立つがどこに相談していいかわからないので、ホームページで連合のユニオンを見つけ電話をしたら、「個人的な相談は出来ない」という返答だった。
 「組合ってそんなもんか」と思いつつ、ひょうごユニオンも見つけたので、“ダメもと”と思いながら電話をすると、委員長さんが出てくれ、「何か相談ですか」と問いかけられた。「派遣社員で組合もなく、個人で対応・解決するしかないが、泣き寝入りしている現実がある。個人での対応・解決には限界があるので、相談できるところを紹介してほしい」と頼んだところ、派遣先が播磨町なのでひょうごユニオンははりまユニオンを紹介してくれ、「はりまユニオンに連絡する」と気さくに話を聞いて対応してくれた。
 労災補償と健康診断について労働基準監督署に相談し、アドバイスを受けて会社に通告すると、会社はその2つはすぐに実施した。
 しかし、昇給はいまだに実施せずに先延ばしにしている。Оさんはいま、ユニオンと相談して団体交渉を申入れている。会社の対応は代理人弁護士を立てて争う態度だ。
 派遣労働者は一人ぼっちで派遣先で働いていて、誰が同じ会社の派遣社員なのかわからない。その名簿提出を求めたが、会社からは「必要ない」と拒否された。ユニオンに加盟しているからだと思う。派遣会社の理不尽な態度を団体交渉で明らかにして、一人ぼっちではなく派遣労働者を1人でも2人でも組織したい。
岩本義久(はりまユニオン書記長)