新社会兵庫ナウ

水脈(2020年2月11日号)

2020/02/09
 気候異変のせいか、あちこちで梅の綻びが見られる。白梅よりも紅梅は少し開花が早かったと思うが、今年は紅白ともに満開に近い。播州の綾部山は開園前だろうが、色も匂いもかなりになっているのではあるまいか▼梅花に罪があるわけではないが、この1年足らずの令和元号騒ぎで、どうも梅の印象が芳しくない。「元号・令和万歳」という狂騒に梅が引っ張り出されるからである▼権勢を誇りたがる男がいて、令和の元号を決めたのは、実は俺なんだと匂わせたがっているように思われる。時代の支配者を気取りたいのであろう。万葉集からとったもので令和は何よりも日本的だと、好きな民族主義をひけらかしている▼大伴旅人が太宰府の宴会で、天気も気分も良い中で梅を詠んだものだと言われている。しかし、寄せた序詞は漢文であり、当時の旅人は左遷中で中央に強い不満をもっていたという。後の菅公と同じ気分か▼この男が安倍某であることは自明であるが、令和がきわめて日本的であり、清朗なものとするのは、牽強付会である▼オリンピックは東京だ、日本だと一生懸命になればなるほど終わってみれば、元号がグローバル化を進めるのに不都合であることを明らかにするであろう。