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「慰安婦」メモリアルデー企画
講演会「性売買は性暴力」
金富子・東京外大名誉教授が講演

2023/09/03
【写真説明】講演で3時間におよぶ熱弁をふるった金富子さん=9月3日、神戸市中央区
 
 1991年、金学順(キム・ハクスン)さんが日本軍「慰安婦」だったと名乗り出た日を記念して8月14日が国連メモリアルデーとなり、それに因む企画として9月3日、神戸では「日本軍『慰安婦』問題を考える会」が「性売買は性暴力」と題した講演会を開いた。講師は植民地朝鮮ジェンダー史研究者・東京外国語大学名誉教授の金富子(キム・プジャ)さんで3時間に及ぶ熱弁だった。
以下、講演要旨。
 《なぜ日本で「慰安婦」問題が解決しないのか。それは「慰安婦」を「性暴力被害者」ととらえる視点が弱く、「売春婦」と貶めれば問題が存在しないかのような見方が蔓延しているからだ。これは徳川時代から始まった公娼制、買う男には寛容で売る女には厳しい家父長制社会が背景にある。この考え方が今も厳然とはびこっている。
 近代日本の植民地支配により慰安婦制度は東アジアに広がり、韓国では戦後も性売買システムがつくられ80年代にはキーセン観光など買春が長く続いていた。しかし2004年、民主化運動によって盧武絃政権下、画期的な「性売買防止法」が制定された。集結地が徐々に閉鎖され、大邱市では支援条例ができて支援事業活動も始められた。そして当事者たちが集ってネットワーク「ムンチ」(団結の意)を結成し、自分の体験を語る勇気ある行動を起こしている。
 いま日本では少年への性加害がクローズアップされているが、カネや権力で「性」を売買するのは搾取であり、暴力であり、犯罪である。》
 そんな視点をしっかり持ちたいと確認した集いだった。
(アイ女性会議)